秋あがり、ひやおろしについて
秋の限定酒『秋あがり』『ひやおろし』
毎年、八月下旬から各蔵から限定出荷される『秋あがり』『ひやおろし』ですが、その表現の理由が分かりづらいと思うので私なりに改めて勉強してみました。
日本酒の造りの工程での火入れ作業について考えます。
- 生酒・本生:日本酒が出来上がる段階で熱処理を一切行わないお酒
- 生詰:搾りあがった日本酒を蛇管状の機械を通し火入れ作業を行い瓶詰した酒
- 生貯:熱処理を行っていないお酒を瓶に入れ、日本酒を蒸す釜などを利用して一度火入れ作業を行った酒
※生詰、生貯の作業については、技術と設備機械の進歩とともに蔵によって違いが出ていますのでご了承ください。
写真の蛇管の中をお酒が入り湯煎、布が巻かれている部分が入口と出口、釜などにお湯を入れ蛇管ごと入れて火入れを行います。
秋あがり、ひやおろしについて
秋口に収穫されたお米を、11月位から翌年の3月位まで酒造りを行います。出来立てのお酒は、新酒としてフレッシュな味わいを楽しんで頂くため、生酒で出荷される事が多いですが、多くのお酒は品質の変化を最小限にする為に火入れを行います。出来上がったお酒を速やかに火入れを行い貯蔵し保管するのですが、瓶詰などの作業に時間がかかる為、生酒を蛇管で一度火入れし酵母などの物質を破壊させ、タンクなどで保管します。その後瓶詰した際に2度目の火入れを行う方法が一般的でしたが、「秋あがり、ひやおろし」は熟成しやすい一度火入れの『生詰』で秋口まで貯蔵したお酒になります。
※現在は、技術や機械の変化で写真のような道具は使用しない場合や作業方法も異なる場合が多いです。あくまで参考として見て頂ければと思います。